目次
はじめに
医療ダイエットと聞くと、注射や機器を用いた治療をイメージされがちですが、内服薬(飲み薬)による治療も広く行われています。とくに「食欲を抑えたい」「糖質制限が難しい」「通院の手間を減らしたい」といった方に人気があります。
本記事では、医療機関で処方される代表的な内服薬の種類・効果・仕組み・副作用などを詳しく解説します。自己流ダイエットが続かない方や、より手軽な方法を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
医療ダイエットに用いられる主な内服薬の種類
医療機関で処方されるダイエット用の内服薬には、大きく分けて次の4種類があります。
薬の種類 | 主な作用 |
---|---|
食欲抑制剤 | 空腹感を抑える |
糖吸収阻害薬 | 糖質の吸収をブロック |
脂肪吸収阻害薬 | 摂取脂肪を体内に吸収させない |
代謝促進・排出系 | 利尿や便通を促進し排出力を高める |
1. 食欲抑制剤(サノレックスなど)
概要
食欲抑制剤は、中枢神経に作用し、空腹感を抑制する医薬品です。脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食事量を自然に減らすことが可能となります。
主な薬剤:サノレックス(マジンドール)
- 厚生労働省が認可した唯一の肥満治療薬
- BMI35以上の高度肥満症患者向け(医師の裁量で軽度でも処方あり)
効果
- 食欲の大幅な抑制
- 数週間で体重が2〜5kg減少するケースも
- 他の治療との併用で効果増大
副作用・注意点
- 口渇・便秘・不眠・頭痛など
- 長期使用不可(原則3か月以内)
- 精神的な副作用(依存傾向・気分の変動)にも注意
2. 糖吸収阻害薬(α-グルコシダーゼ阻害薬/SGLT2阻害薬)
概要
糖質(炭水化物)の吸収を抑え、血糖値の上昇を穏やかにすることで脂肪の蓄積を防ぐ薬剤です。もともと糖尿病治療に使われていた薬ですが、近年ではダイエット目的での処方も増加しています。
主な薬剤
・アカルボース
- 小腸での糖分解酵素を阻害し、ブドウ糖の吸収を抑える
- 食後高血糖を抑える
・カナグリフロジン(SGLT2阻害薬)
- 腎臓での糖再吸収を阻害し、余分な糖を尿として排出
- カロリーカット効果が期待される
効果
- 糖質制限がうまくいかない人に有効
- ゆるやかな体重減少(1〜2kg/月)
- 食後の血糖上昇を防止
副作用・注意点
- 尿路感染症・脱水症状
- 尿のにおいが強くなることも
- 効果を感じるにはある程度の糖質摂取が必要(完全糖質オフだと無効)
3. 脂肪吸収阻害薬(オルリスタットなど)
概要
脂肪吸収阻害薬は、食事に含まれる脂質の30%程度を吸収させずに排出する薬です。これによりカロリー摂取を抑え、体重増加を防ぎます。
主な薬剤:オルリスタット(ゼニカル)
- 海外では肥満治療薬として一般的
- 食事中の脂肪がそのまま便として排出される
効果
- 摂取脂質の一部をカット
- 油っぽい食事が多い人に有効
- 数か月の継続で3〜5kgの減量例も
副作用・注意点
- 油便(下着が汚れるなど)
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収も阻害するため、栄養バランスへの配慮が必要
- 高脂肪食との併用は注意が必要(排便トラブル増)
4. 排出系(漢方や利尿薬)
概要
体内の余分な水分や老廃物を排出させることで、むくみや腸内環境を改善し、体重減少を促進する補助的な薬剤群です。
主な処方例
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):脂肪代謝を促進し、便通を改善
- 大柴胡湯(だいさいことう):ストレス太りや胃腸の不調に対応
- 利尿剤(軽度使用):むくみによる体重増を緩和
効果
- むくみが取れる
- 腸内環境改善により便通促進
- 脂肪代謝のサポート
副作用・注意点
- 利尿剤は過度の使用で脱水症状の危険
- 漢方は体質により合う・合わないがある
- 単独での大幅減量は難しく、補助として使用
医師の処方で始める内服ダイエットの流れ
- 初診・問診
- 体重、体脂肪率、生活習慣、食事内容などを確認
- 血液検査や尿検査
- 肝臓・腎臓の機能や血糖値などをチェック
- 処方薬の決定
- 体質や目的に応じて最適な薬剤を選択
- 服薬指導・定期チェック
- 服薬中の副作用や効果の確認
- 必要に応じて薬の種類や量を調整
内服薬による医療ダイエットのメリット・デメリット
メリット
- 注射や機器に抵抗がある人でも始めやすい
- 自宅で服薬でき、通院頻度が少ない
- 食事や運動が難しい時期のサポートとして有効
デメリット
- 副作用があるため、医師の管理が必須
- 確実な効果を出すには併用療法(食事・運動)が必要
- 自己判断で継続・中止するのは危険
まとめ
内服薬を用いた医療ダイエットは、「無理せず痩せたい」「医療のサポートを受けたい」という方にとって、有効な選択肢です。ただし、それぞれの薬には特有の作用・副作用があり、使い方を誤ると健康を害するリスクもあるため、必ず専門医の診断と指導のもとで行うことが大切です。
- 「食欲が止まらない」→ サノレックス
- 「糖質制限が苦手」→ SGLT2阻害薬
- 「脂っこい食事が多い」→ オルリスタット
- 「むくみや便秘が気になる」→ 漢方薬
このように、自分の体質や生活スタイルに合わせて薬を選ぶことが、内服ダイエット成功のカギとなります。
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